【家づくりが不安な方へ】錆び(さび)編

こんにちは。現場監督の若林です!
これまで家の中で錆を見たことはありますでしょうか。
錆は性能が劣化してしまいますし、見た目もよろしくないのでできるだけ発生させたくないですよね。
建物を建てるうえで、とくに大事にしているのは “錆びない 漏れない 壊れない” ということです。
建物は一軒一軒が姿形異なるものなので、建てる前にそれぞれの設計図を注意深く確認します。
そして不具合というのは私たちの想定外のところから起きるものなので、常に見落としや最悪の事態を考えながら施工しています。
今日は建物における錆の注意点についてお話しします。
1.塩害地域
2.異種金属接触腐食
3.防腐・防蟻処理された木材との接触腐食
4.良い錆
1.塩害地域
土地探しをする上でロケーションを重視して海岸近くの見晴らしが良い地域に建てられる方もいるかと思います。
もちろんメリットもたくさんあるので選ばれている方が多いのかと思いますが、デメリットも存在します。
潮風が届く範囲は塩害を引き起こす可能性があります。
潮風は金属を錆びやすくさせるだけでなく、塗装の劣化を早めるなどのデメリットもあります。
対策としては、錆びにくい建材を使用する(ガルバリウム鋼板、ステンレス)ことやできるだけ屋内に設備を入れたりカバーをつけたりすることや水洗いなどのメンテナンスをこまめにするなどがあげられます。
2.異種金属接触腐食
聞きなれない言葉だと思いますが簡単に言いますと、異なる種類の金属を接触させ続けると錆びやすくなる可能性がありますよということです。
例えば錆びにくい金属にステンレスがあります。
ステンレスのシンクなどを使用されている方も多くいらっしゃるかと思いますが、そこに鉄の釘などを置いておくと釘の方に錆が発生しやすくなるというわけです。
他にもアルミ製品をステンレスのボルトで留めるとアルミ製品が錆びやすくなりますし、外壁や屋根で使われるガルバリウム鋼板はアルミと亜鉛が主原料の合金なのでステンレスの製品を取り付けてしまうと錆びやすくなります。
これらは金属の持つイオン化傾向というものの違いによっておきます。
イオン化傾向が大きく異なるもの同士は錆びやすくなるわけなので、これらの対策としてはまずそのような金属同士を接触させないのが最も良いです。
どうしても使う場合は絶縁のテープなどを介して接触させる方法などがあります。
【接触が危険な金属の組み合わせ(右側の金属の錆が促進されます)】
- ステンレス - 鉄
- ステンレス - アルミ
- 銅 - 鉄
- 銅 - アルミ
3.防腐・防蟻処理された木材との接触腐食
先程は金属と金属の接触した場合の話でしたが、木材と金属が接触し続けても錆が促進してしまう場合があります。
実はこれは先程の異種金属接触腐食と同じ原因です。
木材に防腐・防蟻目的で使用される薬剤には銅が含まれているものがあります。
つまりその銅が含まれる木材とその他イオン化傾向が異なる金属である亜鉛やアルミニウムの部材を接触させ続けると錆びやすくなってしまうというわけです。
このように錆は目に見える金属にだけ注意していれば良いというわけではないのです。
4.良い錆
これまで錆の悪いところばかり説明してきましたが、実は良いところもあります。
例えば鉄骨で構成されている建物では、鉄骨と鉄骨の接続部はわざと錆びさせていることがほとんどです。
なぜかというと錆によって表面に凹凸ができ、接合したときの摩擦力が向上するからです。
ただし、管理してあえて良い錆を発生させている場合に限ります。
錆に関してではありませんが、他にも木材の表面を焼いてあえて炭化させることで性能を上げる技法など建物にはあります。
このように建物には、性能を上げるためにあえて素材に対して悪影響になりそうなことをするっていうのがまた面白いですよね。
おしまい